2016年3月10日 (木) 19:10 配信 マイナビ 学生の窓口

「キャリアアップ助成金」という制度を聞いたことがありますか? 非正規雇用労働者のキャリアアップのための国の制度ですが、実際に活用されているケースはかなり少ないようです。今回はそのキャリアアップ助成金についてご紹介しましょう。
■キャリアアップ助成金ってなに?
キャリアアップ助成金は、派遣社員や有期契約社員、短時間労働者といった非正規雇用労働者のキャリアアップを促すために、会社側に助成する制度のことです。対象となる会社は中小企業で、業種によって資本金や労働者の数に細かい決まりがあります。
例えば、派遣社員を正規雇用に転換したら、1人あたり40万円が会社に支払われます。実際には、受給要件がかなり詳しく決まっていて、法律改正などによって少しずつ変動しているため、もし中小企業でこの制度を利用するなら、事前によく調べた方が良いでしょう。
中小企業では、人材育成が必要とわかっていても、なかなかそのための費用や時間が出せないということがありますよね。そこで、そういった課題解決のためにキャリアアップ助成金を受給することによって、会社も嬉しい、労働者も嬉しいという両得を実現することが可能となるのです。
■キャリアアップ助成金の利用状況
厚生労働省の平成26年度能力開発基本調査によると、キャリアアップ助成金(人材育成コース)の利用した企業や団体は、2.8%でした。「制度について知っているが、利用したことはない」が41.7%、「制度について知らないため、利用したことはない」が54.0%と、ほとんど全ての中小企業において利用されていないことがわかります。
キャリアアップ助成金には6つのコースがあり、ここで数字の出ている人材育成コースというのは、非正規雇用労働者に対して職業訓練を行った場合に支払われる助成金のことです。しかし、受給要件の中には「キャリアアップ計画書」を労働局長に認定してもらったり、「職業訓練計画届」を提出したりと、企業の担当者にとって手間がかかることも多いため、なかなか利用につながっていないようです。
■キャリアアップ助成金の6コース
人材育成コースの他には、最初の例のような正規雇用転換コース、賃金を増額させた場合の処遇改善コース、健康診断制度を規定するともらえる健康管理コース、勤務地・職務限定に転換、または短時間正社員に転換した場合などの多様な正社員コース、有期契約労働者の週の所定労働時間を延長した場合のコースがあります。いずれも、企業側が、「このように改善する」と申請し、それを実施したことが必要となっています。
キャリアアップ助成金をうまく使えば、中小企業でネックとなる人材育成について、国から助成金をもらいつつ、労働者のモチベーションアップにつなげることができます。そして、こういった取り組みをしている企業は、社会的にも認められる存在になっていくでしょう。
(ファナティック)

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